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最高裁判所第三小法廷 昭和34年(あ)1520号 判決 1960年1月19日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人豊蔵利忠の上告趣意第一点について。

憲法三七条二項の規定は、被告人が判決において有罪の言渡を受けた場合に、その被告人に証人の喚問に要した費用の負担を命ずることを禁ずる趣旨ではなく、裁判確定の上で、その訴訟に要した費用を何人に負担せしめるかという問題は、右憲法の規定の関知しないところであって、これは、法律をもって適当に規定しうる事柄であることは、すでに当裁判所の判例とするところである(昭和二三年(れ)三一六号同年一二月二七日大法廷判決、刑集二巻一四号一九三四頁)。されば、刑訴一八一条が憲法の右条項に違反しないことは、前記判例の趣旨に照らし明らかであり、原判決が所論の各証人に支給した訴訟費用を被告人の負担としたのは正当であるから、所論は採用できない。

同第二点は、量刑不当の主張であって、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 石坂修一 裁判官 島 保 裁判官 垂水克己 裁判官 高橋 潔)

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